コミュニティという視点から考えると、意外とわかりやすい自然農の畑づくり
最近、自然農の説明をするときに、私たちの生きている人間社会、コミュニティを例に出します。
そうするとけっこう皆さんに理解してもらえるんです。
私たちも生き物だから、似ているのは当たり前っちゃあ当たり前かもですが、やっぱり野菜と人間は別な話だと考えてしまいがちだから、この視点は面白いなあと。
結論から言いますと、自然農の畑づくりって、そこにいる生き物たちが自分たちで自活できるコミュニティを作って、その中で野菜もうまくコミュニティの輪に入れるようにサポートしてあげることだと思ってます。
この自立したコミュニティが作れて、そこにうまく野菜が溶け込めれば、肥料とかわざわざ外から持ってこなくても育つし、半永久的に持続可能な野菜づくりができるというわけです。
ですから、ここでの私たちの役割は大きく分けて二つあります。
一つ目は「自立したコミュニティを作る」。
作ると言っても、あくまでも実際にコミュニティをつくるのは、そこに生きる植物や微生物、虫たちなどです。
ですから、僕らはその環境を作ってあげる。
野菜によってもどういうコミュニティ、環境を好むかは違いますが、一般的には畝を立てることで水はけや通気性がよい舞台を整え、野菜が育ちやすいコミュニティが作られます。
適した環境があれば草や虫たちは勝手にコミュニティを作り始めます。
このコミュニティが作られる過程はまた詳しく別な記事に書こうと思いますが、とにかく環境を整えた上で、適切に手を貸してあげ、時間をかけることで、自然の生き物たちの力によって「自立したコミュニティ」が作られます。
自立したコミュニティは、複雑で多様性がありつつも全体としてまとまっていて、一貫性があり、柔軟で適応力がある状態です。
この状態になると、自分を保つ力がコミュニティ自体につき、日光や雨水、大気、大地をエネルギー源として自立し、成長し、まるで一つの生き物であるかのように振る舞います。
ここでほったらかしにしてしまうと森になる方向に成長が進むので、野菜が育ちやすいコミュニティの状態ではなくなってしまいます。
ですので、昔の里山に人の手が入っていたことでその多様性が維持され、持続的に薪や建築資材として資源を得ていたように、適度に私たちが間引いてこの段階を維持することが必要であり、草を刈ったり、適量の収穫物得るということもこの助けとなっています。
2つ目の私たちの役割は、よそ者であり変わり者の植物である野菜が、そこのコミュニティに溶け込めるように手を貸していくことです。
そこで根を張り、周りの虫や微生物、植物たちと適度な距離感での関係性を作り、自立して生きれるように、周りの草を刈ってあげたり、補いをしたり、相性のよい草や野菜を配置してあげたりなどしていきます。
自然農を初めたばかりで、適応力のあるコミュニティがまだ形成されていない場合は、そこのコミュニティに柔軟性や余裕がまだないので、はじかれてしまいやすいです。
その結果野菜が、繁殖力の強い草に負けたり、虫に食べられてしまったりなどしやすいです。
柔軟性のある自立したコミュニティですと、野菜もその輪の中に入りやすく、さらに種採りなどして野菜自体がその土地になじんでいけば、より生きやすくなっていきます。
以上、自然農の畑はコミュニティづくりに似ているなあという話を書いてきましたが、逆に言いますと、自然の力をうまく利用し、補助金(肥料)を必要せず、トップダウンだけでなく、ボトムアップ的に作られ、持続可能であるという自然農の畑は、これからの人間社会のあり方を考える上でとても参考になったりするかもしれませんね~。
今回は以上です。
お読みいただきありがとうございます。
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