不思議すぎる!なぜ自然農では肥料がいらないのか? :自然農Q&A
自然農Q&Aのコーナーでは、自然農に関してのよくある質問に、僕なりの考えを書いていきます。
川口さんやその他自然農の先輩がたの意見とは全然違うかもしれませんので、参考程度に読み流してください。
今回は「なぜ肥料がいらないのか?」について
これは僕の中でも疑問でした。
野菜をそこから収穫するのに、なぜ何も足さずにすむのか。
つまりマイナスがあるのにプラスがないっておかしいでしょと
普通の農業の場合はたくさんの肥料を使います。
有機農業でも1反(1000㎡)あたりに、平均2トンくらいの堆肥を入れるようです。
もちろん農家さんや野菜によっても異なりますが、多かれ少なかれ肥料を入れないことには作物は間違いなくできません。
ではなぜ自然農では肥料がいらないのか。
よくその回答として、森が例えとして出てくることがあります。
森では何の肥料もあげなくても、立派に木々が育っていると。
でもそれってそこから何も収穫してないからじゃないの?森の中で野菜が育つわけでもないし。
と僕はその答えにすっきりしないままでいました。
しかし、僕が初めてそれを解決の糸口となりそうなアイデアに出会えたのは、パーマカルチャーの講座を受けたときです。
そこで習った「植生の遷移」というものを考えると、マイナスがあるのになぜプラスがいらないのかがなんとなく分かります。
実はこの植生の遷移については、中学校あたりで習っているようです。
僕も覚えていませんでしたが。
問題:今ここにまっさらな畑があるとします。このまま放っておくとどうなるでしょうか。
そうです。森になります。
もちろん場所によっても違いますが、たいてい自然は何もないところから時間をかけて森になろうとします。
植生、つまりそこに住む生き物達は時間が経つにつれ、少しずつ変化していき、最終的には森になっていく仕組みを「植生の遷移」というらしいです。
この変化は増える変化です。
何もないところから、空気や雨から養分を取り込み、それを蓄え増幅するサイクルを自然は持っています。
植生の遷移は、最初は地衣類というコケのような生きものから始まるようです。
もちろん普通の畑には地衣類はいないでしょうが、とにかく少しでも多く日光と雨と空気からエネルギーや養分を蓄えるために、地表を覆うことがファーストステップとなります。
地表が裸の状態だと、雨風ですぐ養分は流れ、風化していきます。
ちなみにオーガニック先進国であるヨーロッパでは、これを防ぐためにキャッチクロップと言って、何も畑に野菜を作らないときは、クローバーなどの種をまき、畑の養分が逃げないようするという考えがあるそうです。
そこに植物が生えると、それを食べ、住処とするいろんな虫が来ます。
するとまたその虫を食べにくるいろんな生き物がやってきて、そこで繁殖します。
それらの生き物達の死骸はその畑の養分と成り、どんどん畑を豊かにしていきます。
最初はコケのような植物しか生えなかったところでも、1年生の植物(1年サイクルで生え変わる植物)が生えるようになり、やがてもっと寿命の長い二年生や多年生の植物が生えるようになります。
地力がさらにつくと低木となり最後には大きな木が生えれるまでの地力が醸成されていきます。
野菜はだいたい1年性〜多年生の植物なので、だいたいそのレベルの地力が必要ということでしょう。
それより地力の低いところではうまく育たないし、逆に地力のありすぎるところでは野菜は大きく育つけど、自然界がバランスをとるために、野菜が虫たちに食べられてしまったり、雑草の勢いに負けてしまうということが起こってしまうのかもしれません。
つまり僕の今の結論的には
自然界には「増えるサイクル」があって、その仕組みを利用した自然農では、その増えた分を収穫していくので、プラスマイナスゼロである
と考えています。
ちなみに川口さんはこのサイクルを、「増える営み」という言葉で表現されているようです。
いや!そんなんじゃ納得いかん!
とおっしゃられる方もいるかもしれません。
いくら自然界に増える仕組みがあるとはいえ、普通の農業の肥料の量とは違いがありすぎると。
僕も有機農業をしているときの感覚からすれば、自然農のこの理論は狐につままれたような気分になると思います。
そういう方はぜひ次回、「地力とはなんなのか」という記事を書こうと思いますので、そちらを見てください。
自然農の畑が目指す「回流性の良い状態」になれば、非常に少ない投入量でも最大限の成果が得られます。
ほんとにすごい仕組みだと思います。
また自然農では「肥料」ではなく、「補い」として油かすや米ぬかを畑にまきますが、この「肥料」と「補い」の違いも、この「増えるサイクル」をもとに考えると分かりやすいと思います。
ここらへんもまた別の記事に書こうと思います。